今回はChannel FireballからPaulo Vitor Damo da Rosa(PV)によるアタルカレッドの考察記事を紹介します。
省略、意訳、行間の補足等を含みますので、是非原文(http://www.channelfireball.com/home/mono-red-deck-guide-2/)もご覧ください。
以下翻訳
プロツアーで私がアタルカレッドを使用しているのを見た多くの人が、驚きと疑問を次々と口にした。
アタルカレッドを使用した理由は単純で、他のデッキをプロツアーに持ち込む時と同じように、このデッキが最も素晴らしい選択肢だと考えたからに過ぎない。
ベストなデッキを選んだことには自信があったし、これまでのマジックキャリアの中でアグレッシブなデッキで結果を残したことも多くあった。
アタルカレッドを使うと決める際に、エスパー使いのイメージが定着するまでに使い込んだエスパードラゴンがふと頭によぎったのはまた別の話である。
プロツアーで使用したリストを以下に紹介しよう。
ゲームプラン
このデッキは、私が今までプレイしてきた赤単系のデッキとは趣を異にしている。
多くの赤単系のデッキと対峙する際に最も効果的なのは、ご存じの通り火力を効果的に使わせないことであろう。
しかしながらこのデッキは《強大化/Become Immense》+《ティムールの激闘/Temur Battle Rage》コンボを擁しており、今までの赤単系のデッキが決して勝てなかったような場面からですら勝つことが出来るようになっているのだ。
例えば、私がSam Pardeeと調整をしていたときの話になるが、Samの初動は3ターン目の《カマキリの乗り手/Mantis Rider》で、こちらの初動も《カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh》という緩やかなものであった。
《カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh》がSamの《ジェスカイの魔除け/Jeskai Charm》によってデッキトップに置かれてしまったため、私は追加の土地を置くことなく《カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh》を再び場に出すに留まった訳であるが、返すターンにSamが繰り出したのは《龍王オジュタイ/Dragonlord Ojutai》。普通の赤単ならデッキを畳んでも良いような状況である。
それでも私は冷静に土地をアンタップし、追加のフェッチランドを置くと最後の攻撃宣言を行った。
Samは《カマキリの乗り手/Mantis Rider》をブロックに差し出したが、私の手札から零れたのは《タイタンの力/Titan’s Strength》、《ティムールの激闘/Timur Battle Rage》そして《強大化/Become Immense》。突如として11/9の二段攻撃・トランプル持ちが誕生したのである。
《カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh》の起動型能力を2回と裏返ってからの+1能力を合わせると、このターンだけで一挙26点。仮に《カマキリの乗り手/Mantis Rider》と《龍王オジュタイ/Dragonlord Ojutai》でダブルブロックを選択していたとしても、フェッチランドからのダメージを合わせると丁度ライフを削りきれた計算だ。
4ターン目から動いて次のターンに19点を削りきることなど、他の赤単系のデッキでは決して考えられないことだろう。
半数のゲームで《ティムールの激闘/Timur Battle Rage》+《強大化/Become Immense》コンボは上手く決まらず、クリーチャーを横に並べてからの《アタルカの命令/Atarka’s Command》で勝つことになるのだが、残りの半数のゲームでこのコンボ擁するアタルカレッドは、あたかもモダンの双子コンボかのごとく振舞うのだ。
ひとえに《タイタンの力/Titan’s Strength》と《強大化/Become Immense》は《詐欺師の総督/Deceiver Exarch》と《やっかい児/Pestermite》であるし、《ティムールの激闘/Timur Battle Rage》は《欠片の双子/Splinter Twin》である。
相手の手札にコンボパーツが揃っているかも知れない状況を思い浮かべてみてほしい。
あなたが手札に《究極の価格/Ultimate Price》を構えている状況で、相手が《ケラル砦の修道院長/Abott of Keral Keep》、《鐘突きのズルゴ/Zurgo Bellstriker》、一体のゴブリントークンで攻撃してきた場合はどうであろうか。
もし《究極の価格/Ultimate Price》を唱えるのであれば、相手がコンボを決めてしまう可能性を無視することはできないだろう。
《究極の価格/Ultimate Price》を唱えない場合は、相手は無理にコンボを狙う必要が無いため、そのまま5点のダメージを通して終わりだ。
このように、相手がコンボに対する解答を持っていたとしても、不利な選択肢を突き付け続けることが出来るのがこのデッキの強みなのである。
調整の段階でもこのコンボに打ち勝つのは非常に困難であった。
そもそもスタンダードのプールではかゆい所に手が届かないことが多く、多くのデッキが、このコンボに有効なカードを重い3~4マナのものに頼らざるを得ないのだ。
1~2マナのカードで有効な物もあるにはあるが、コンボが始動してからでは手遅れである場合がほとんどで、それらを何枚も組み合わせないといけないのであれば、結局は重すぎると言うほかないのである。
次にアブザンでアタルカレッドを相手取る場合を考えてほしい。
こちらの手札に《アブザンの魔除け/Abzan Charm》と《包囲サイ/Siege Rhino》があり、相手の場にはゴブリントークンが三体だけの場合、《包囲サイ/Siege Rhino》を出さずに《アブザンの魔除け/Abzan Charm》を構えるという選択は果たして有効であろうか。
《包囲サイ/Siege Rhino》を出さなかった場合は毎ターンゴブリントークンから3点を受け続け、その内相手からすればコンボを決めなくとも十分なラインまでライフが落ち込んでしまうことであろう。
フルタップで《包囲サイ/Siege Rhino》を繰り出した場合、《アブザンの魔除け/Abzan Charm》というコンボに対する解答を手札に抱えたまま、返しのターンで突然死してしまうリスクを抱えることになるのだ。
タップアウトを強烈に咎めるアタルカレッドというデッキに対し、このように重い解答は解答としては不十分なのである。
プレイの難度 - 非常に高い
結論から述べると、このデッキはプレイが非常に難しいデッキである。
簡単に勝てる場面であれば何も迷う必要は無いのだが、コンボを通さないと勝てないような場面では途端に考えることが増えるのだ。
先ほどのアブザン対アタルカレッドにおいて、アタルカレッド側はコンボを仕掛けるタイミングを間違えると、大きく育ったゴブリンが《アブザンの魔除け/Abzan Charm》の餌食になり、その後に続く《包囲サイ/Siege Rhino》を越える力はもはや残されていないだろう。
かと言ってコンボを仕掛けずに勝ちきれるほど甘くはないのだから、いつコンボを狙うかに頭を悩ませることになるのだ。
同じような理由で、様々なインスタント除去を有するデッキを相手取る際にも多くのことを考える必要出てくる。
様々な除去の内、どれが本当に致命的なものであるかを見極めなければならないのだ。
先日のプロツアーで多くのプレイヤーをコンボで沈めてきたが、コンボを異常に警戒するプレイヤーがいれば、逆に全く警戒していないプレイヤーも多く見られた。
両者に共通するのは致命的な場面で判断を誤ってしまったことであるが、コンボを決められる前に勝ちに行くのか、それともコンボを捌ききって勝ちに行くのかは非常に繊細な分水嶺なのである。
カード選択
《森/Forest》
《森/Forest》が入ってないリストもあるが、私はデッキに1枚は必要だと考えている。
素引きしてしまったり、《稲妻の狂戦士/Lightning Berserker》の能力を起動できなかったりと不都合なこともあるが、それを加味したとしてもだ。
2マナの状態で安定して《アタルカの命令/Atarka’s Command》を唱えるためには、《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》からアンタップインできる緑マナが必要になってくるが、これはバトルランドと《山/Mountain》だけでは実現できないことなのである。
《森/Forest》を素引きしてしまう可能性があることだけはデメリットだが、逆に言えば《森/Forest》以外なら何を引いても構わないということであり、速やかに終わるはずのゲームでそう何度も《森/Forest》ばかりを引くことは考えなくても良いだろう。
土地21枚
統計的には21枚の土地が必要であったが、感覚的にはどうしてもフラッドが多いように感じられた。
プロツアー中も酷いフラッドに悩まされ、後手の場合は毎回土地を1枚サイドアウトしていたくらいであるから、今後アタルカレッドのアップデート版を作るのであれば土地は20枚にすべきだろう。
3枚目の土地を置いた後の手札に残っているのは呪文だけという状況が理想であり、フラッドを避けるためにも《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》を1枚削るのが良いように思う。
《ドラゴンの餌/Dragon Fodder》
Frank Karstenのリスト(http://www.channelfireball.com/articles/atarka-red-deck-guide/)で、2マナ域は《龍を操る者/Dragon Whisperer》と《マキンディの滑り駆け/Makindi Sliderunner》が優先されていたが、この選択に懐疑的である。
調整の段階から、強さにムラのある上陸クリーチャーについての賛否はあったが、《ドラゴンの餌/Dragon Fodder》のパフォーマンスはいつだって安定している。
コンボを成立させるためにはクリーチャーが必要不可欠であるが、このカードはたった2マナで2体のクリーチャーを供給してくれるばかりか、果敢のトリガーとなったり《強大化/Become Immmense》の探査のコストになったりとその役割は多岐に渡る。
このカードの枚数を減らすことはありえないだろう。
《軍属童の突発/Horeling Outburst》
《ドラゴンの餌/Dragon Fodder》とマナレシオは同じだが、使い勝手はやや劣るものになっている。
同じ3マナ域の《軍属童の突発/Horeling Outburst》と《カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh》ではどちらが有用かという議論を重ねてきたが、《カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh》は緑系のデッキに強く、《軍属童の突発/Horeling Outburst》は赤系のデッキ、殊ミラーマッチにおいて効果的だという結論に至った。
この評価はメタゲームにも依るが、それでもメインボードの《軍属童の突発/Horeling Outburst》は2枚がベストであろう。
《強大化/Become Immense》+ 《ティムールの激闘/Temur Battle Rage》
両者の採用枚数は3枚ずつに抑えているが、なぜ4枚ずつにしなかったのかと聞かれることがよくある。
確かにコンボパーツは何としてでも引きたいものだが、何枚も重ねて引いてしまっては勝てるものも勝てなくなってしまう。
コンボ一辺倒でなくとも通常の赤単系のデッキと同じような勝ち筋が見込めるのであるから、同じ役割の《タイタンの力/Titan’s Stregth》と合わせて十分数が確保できている《強大化/Become Immense》を4枚にする必要は無いだろう。
しかしながら、他に代わりの無い《ティムールの激闘/Temur Battle Rage》を4枚にするのは理に適った選択であり、とりわけトークンデッキ相手には劇的に効果が見込めるようになるはずだ。
サイドボードの採択
今回のサイドボードは、他のリストに多く見られる4マナのカードが採用されていないこと以外はいたって普通の構成になっている。
始め、サイドボードの《雷破の執政/Thunderbreak Regent》はジェスカイ・緑白・ミラー全てのマッチアップで効果的なものに感じ、このデッキの原型を作ったBrian DeMarsからも賛同を得ていたのだが、調整を重ねていくにつれ当初期待していたほどの働きをしないことが分かった。
緑白の《徴税の大天使/Archengel of Tithes》と《正義のうねり/Surge of Righteousness》はまさにこのカードの天敵であるし、ジェスカイの《はじける破滅/Crackling Doom》を前にしては全くの無力である。
極めつけはミラーマッチでの弱さで、ミラー相手にタップアウトしてしまったのなら次の自分のターンが返ってくることは考え辛いだろう。
ミラーのサイド後に《前哨地の包囲/Outpost Siege》を入れてコントロールに回るプランも考えたが、コンボが決まるよりも早くクリーチャーを捌き切ることは不可能だと感じ、タップアウトの不安も拭い切れなかったことも相俟って、今回は4マナ以上のカードの採用を考えないものとした。
本来ならサイドボードのインアウトを固定してしまうことなどあってはならないことだが、今回のサイドボードは役割が明確なカードが多いため、自ずとサイドインする相手も限られてくる。
一つ注意しなければならないのが、後手の場合はサイドカードを引きに行くためにキープ基準を厳しくすることと、同じく後手の場合に土地を1枚サイドアウトしてフラッドを防ぐことである。
以下にサイドボーディングについての解説を記すが、相手のデッキやプレイを見極めて柔軟なサイドボーディングを行うことを心がけられたい。
《引き裂く流弾/Rending Volley》
対エスパーや対ジェスカイの《アラシンの僧侶/Arashin Cleric》、《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn’s Prodigy》、《龍王オジュタイ/Dragonlord Ojutai》に有効だ。
《稲妻の狂戦士/Lightning Berserker》
エスパーやその他のコントロールデッキなど、全体除去を有するデッキを相手取る時の返しの手段として有効だ。
《焦熱の衝動/Fiery Impulse》
ミラーマッチや対ジェスカイ、対緑白に有効である。
緑白相手にあまり多くは抱えたくないカードであるが、それでも《乱撃斬/Wild Slash》よりかは些かマシであろう。
《焙り焼き/Roast》
《先頭に立つもの、アナフェンザ/Anafenza, the Foremost》や《包囲サイ/Siege Rhino》を見かけたらサイドインしよう。
《沸き立つ大地/Boiling Earth》
ミラーマッチだけに有効なカードだ。
本来なら《弧状の稲妻/Arc Lightning》の方が役割が広いのだが、酷いフラッドに苛まれた際にはこのカードの方が頼りになるのである。
《カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh》
対緑白や対アブザンのような、重い除去や《正義のうねり/Surge of Righteousness》をはじめとしたレンジストライク型の除去を採用しているデッキに非常に有効である。
《軍属童の突発/Horeling Outburst》
対コントロールやミラーマッチで有効である。
メインの《乱撃斬/Wild Slash》、《稲妻の狂戦士/Lightning Berserker》、《タイタンの力/Titan’s Stregth》はサイドアウトの機会が多くなるだろう。
《乱撃斬/Wild Slash》は小型クリーチャー以外には効果が薄く、《稲妻の狂戦士/Lightning Berserker》は《搭載歩行機械/Hangarback Walker》のようなブロッカーには非常に弱いからだ。
《タイタンの力/Titan’s Stregth》も軽い除去を多く採用しているデッキに対しては効果的とは言えないだろう。
《カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh》をサイドインする場合には、3マナ域でもたつくことを防ぐために《軍属童の突発/Horeling Outburst》はサイドアウトしてしまう。
アタルカレッドを使用している人の多くがサイド後のコンボプランを諦めてしまっているが、このデッキのコンボは対策を乗り越えるだけのパワーがあるため、《タイタンの力/Titan’s Stregth》以外のコンボパーツを抜いてしまっては勿体無い。
サイドに《わめき騒ぐマンドリル/Hooting Mandrills》を採用しない理由の一つに、《強大化/Become Immense》をサイドアウトしたくないことが挙げられるくらいにはコンボパーツを重要視しているのである。
サイドボーディング
追加の3マナ域は概ね《軍属童の突発/Horeling Outburst》が良さそうに見えるが、相手が《否認/Negate》や《正義のうねり/Surge of Righteousness》を採用してくるのであれば《カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh》をサイドインする方が良いだろう。
プレイングのコツ
今後のアタルカレッド
赤単系のデッキが今後どうなるのかは全く分からない。
プロツアー前の段階ではアタルカレッドが最高のデッキだと考えており、事実多くのチームメイトに無理やりにでもアタルカレッドを使うことを進めてきた。
にもかかわらずTOP8に進出できたのは私だけ。このデッキを持ち込んだ人の数から考えても少なすぎるくらいだ。
このデッキはアブザンアグロとジェスカイとのマッチアップだけが厳しく、またそれらのデッキがどれだけ構築の段階からアタルカレッドを意識しているかによっても勝率が左右される。
アブザンアグロとジェスカイは間違いなく環境のトップメタであるが、アタルカレッドもそれらに優るとも劣らず、両者を除く環境の全てのデッキに有利と言っても過言ではない程には仕上っているのだ。
赤単系のデッキは対策されるまでが華だという人が多くいるが、それは過去の話であろう。
このアタルカレッドというデッキは過去の赤単系のデッキとは性質がまるで異なり、ある程度の対策は容易くも潜り抜けてしまうのである。
多くの人が《正義のうねり/Surge of Righteousness》や《アラシンの僧侶/Arashin Cleric》、そして《光輝の炎/Radiant Flame》といったカードをサイドに採っており、その枚数は時に6~8枚にも及ぶが、それでもなおアタルカレッドの猛攻を防ぐには心許無いだろう。
これらの、アタルカレッド以外には効果の薄いカードをサイドボードの半数近くも採用しなければならないとうことは、それほどまでにこのデッキに対するヘイトが高いことの証左である。
それでもなおプロツアーでの二日目進出率が14%にも及んだのは、このアタルカレッドというデッキが並み大抵のメタを寄せ付けないだけのパワーを有しているからであろう。
TOP8の結果を見るに、アタルカレッドが最適解であったとは言い難いが、それでもこのデッキが素晴らしいものであることには変わりない。
もしアタルカレッドに対するヘイトが今よりも低ければ、環境の他のデッキを全く寄せ付けずにメタゲームをかっさらっていたことであろう。
今後も風当たりの厳しい状況が続くだろうが、それでもアタルカレッドは使用に値するデッキであり、他のデッキを使うにしても必ず意識しなければならないデッキであることは間違いないはずだ。
このままアタルカレッドを使い続けるのであれば大きな変更は必要ないが、他に活路を見出すならAndrea Mengucciの赤緑上陸(http://www.channelfireball.com/articles/rg-landfall-deck-guide/)が有力だろう。
赤緑上陸はクリーチャーがよりタフなものに据え置かれており、《正義のうねり/Surge of Righteousness》に引っかからない緑のクリーチャーを採用できる点で優れている。
しかしながら上陸の性質上土地の枚数を削ることが出来ず、赤単系のデッキであれば土地は20枚で十分なところを24枚も採用しなければならない。
時間をかけて調整を重ねれば評価も変わるかもしれないが、今の段階では赤緑上陸の構築上の欠陥は拭いきれないものに感じる。
以上翻訳
語り
省略、意訳、行間の補足等を含みますので、是非原文(http://www.channelfireball.com/home/mono-red-deck-guide-2/)もご覧ください。
以下翻訳
プロツアーで私がアタルカレッドを使用しているのを見た多くの人が、驚きと疑問を次々と口にした。
アタルカレッドを使用した理由は単純で、他のデッキをプロツアーに持ち込む時と同じように、このデッキが最も素晴らしい選択肢だと考えたからに過ぎない。
ベストなデッキを選んだことには自信があったし、これまでのマジックキャリアの中でアグレッシブなデッキで結果を残したことも多くあった。
アタルカレッドを使うと決める際に、エスパー使いのイメージが定着するまでに使い込んだエスパードラゴンがふと頭によぎったのはまた別の話である。
プロツアーで使用したリストを以下に紹介しよう。
クリーチャー:14
4:《ケラル砦の修道院長/Abott of Keral Keep》
2:《稲妻の狂戦士/Lightning Berserker》
4:《僧院の速槍/Monastry Swiftspear》
4:《鐘突きのズルゴ/Zurgo Bellstriker》
呪文:25
4:《アタルカの命令/Atarka’s Command》
3:《強大化/Become Immense》
4:《ドラゴンの餌/Dragon Fodder》
2:《焦熱の衝動/Fiery Impulse》
2:《軍属童の突発/Horeling Outburst》
3:《ティムールの激闘/Temur Battle Rage》
4:《タイタンの力/Titan’s Stregth》
3:《乱撃斬/Wild Slash》
土地:21
4:《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
2:《燃えがらの林間地/Cinder Glade》
2:《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
4:《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》
1:《森/Forest》
8:《山/Mountain》
サイドボード:15
1:《稲妻の狂戦士/Lightning Berserker》
2:《焦熱の衝動/Fiery Impulse》
2:《軍属童の突発/Horeling Outburst》
3:《カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh》
1:《沸き立つ大地/Boiling Earth》
3:《引き裂く流弾/Rending Volley》
3:《焙り焼き/Roast》
ゲームプラン
このデッキは、私が今までプレイしてきた赤単系のデッキとは趣を異にしている。
多くの赤単系のデッキと対峙する際に最も効果的なのは、ご存じの通り火力を効果的に使わせないことであろう。
しかしながらこのデッキは《強大化/Become Immense》+《ティムールの激闘/Temur Battle Rage》コンボを擁しており、今までの赤単系のデッキが決して勝てなかったような場面からですら勝つことが出来るようになっているのだ。
例えば、私がSam Pardeeと調整をしていたときの話になるが、Samの初動は3ターン目の《カマキリの乗り手/Mantis Rider》で、こちらの初動も《カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh》という緩やかなものであった。
《カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh》がSamの《ジェスカイの魔除け/Jeskai Charm》によってデッキトップに置かれてしまったため、私は追加の土地を置くことなく《カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh》を再び場に出すに留まった訳であるが、返すターンにSamが繰り出したのは《龍王オジュタイ/Dragonlord Ojutai》。普通の赤単ならデッキを畳んでも良いような状況である。
それでも私は冷静に土地をアンタップし、追加のフェッチランドを置くと最後の攻撃宣言を行った。
Samは《カマキリの乗り手/Mantis Rider》をブロックに差し出したが、私の手札から零れたのは《タイタンの力/Titan’s Strength》、《ティムールの激闘/Timur Battle Rage》そして《強大化/Become Immense》。突如として11/9の二段攻撃・トランプル持ちが誕生したのである。
《カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh》の起動型能力を2回と裏返ってからの+1能力を合わせると、このターンだけで一挙26点。仮に《カマキリの乗り手/Mantis Rider》と《龍王オジュタイ/Dragonlord Ojutai》でダブルブロックを選択していたとしても、フェッチランドからのダメージを合わせると丁度ライフを削りきれた計算だ。
4ターン目から動いて次のターンに19点を削りきることなど、他の赤単系のデッキでは決して考えられないことだろう。
半数のゲームで《ティムールの激闘/Timur Battle Rage》+《強大化/Become Immense》コンボは上手く決まらず、クリーチャーを横に並べてからの《アタルカの命令/Atarka’s Command》で勝つことになるのだが、残りの半数のゲームでこのコンボ擁するアタルカレッドは、あたかもモダンの双子コンボかのごとく振舞うのだ。
ひとえに《タイタンの力/Titan’s Strength》と《強大化/Become Immense》は《詐欺師の総督/Deceiver Exarch》と《やっかい児/Pestermite》であるし、《ティムールの激闘/Timur Battle Rage》は《欠片の双子/Splinter Twin》である。
相手の手札にコンボパーツが揃っているかも知れない状況を思い浮かべてみてほしい。
あなたが手札に《究極の価格/Ultimate Price》を構えている状況で、相手が《ケラル砦の修道院長/Abott of Keral Keep》、《鐘突きのズルゴ/Zurgo Bellstriker》、一体のゴブリントークンで攻撃してきた場合はどうであろうか。
もし《究極の価格/Ultimate Price》を唱えるのであれば、相手がコンボを決めてしまう可能性を無視することはできないだろう。
《究極の価格/Ultimate Price》を唱えない場合は、相手は無理にコンボを狙う必要が無いため、そのまま5点のダメージを通して終わりだ。
このように、相手がコンボに対する解答を持っていたとしても、不利な選択肢を突き付け続けることが出来るのがこのデッキの強みなのである。
調整の段階でもこのコンボに打ち勝つのは非常に困難であった。
そもそもスタンダードのプールではかゆい所に手が届かないことが多く、多くのデッキが、このコンボに有効なカードを重い3~4マナのものに頼らざるを得ないのだ。
1~2マナのカードで有効な物もあるにはあるが、コンボが始動してからでは手遅れである場合がほとんどで、それらを何枚も組み合わせないといけないのであれば、結局は重すぎると言うほかないのである。
次にアブザンでアタルカレッドを相手取る場合を考えてほしい。
こちらの手札に《アブザンの魔除け/Abzan Charm》と《包囲サイ/Siege Rhino》があり、相手の場にはゴブリントークンが三体だけの場合、《包囲サイ/Siege Rhino》を出さずに《アブザンの魔除け/Abzan Charm》を構えるという選択は果たして有効であろうか。
《包囲サイ/Siege Rhino》を出さなかった場合は毎ターンゴブリントークンから3点を受け続け、その内相手からすればコンボを決めなくとも十分なラインまでライフが落ち込んでしまうことであろう。
フルタップで《包囲サイ/Siege Rhino》を繰り出した場合、《アブザンの魔除け/Abzan Charm》というコンボに対する解答を手札に抱えたまま、返しのターンで突然死してしまうリスクを抱えることになるのだ。
タップアウトを強烈に咎めるアタルカレッドというデッキに対し、このように重い解答は解答としては不十分なのである。
プレイの難度 - 非常に高い
結論から述べると、このデッキはプレイが非常に難しいデッキである。
簡単に勝てる場面であれば何も迷う必要は無いのだが、コンボを通さないと勝てないような場面では途端に考えることが増えるのだ。
先ほどのアブザン対アタルカレッドにおいて、アタルカレッド側はコンボを仕掛けるタイミングを間違えると、大きく育ったゴブリンが《アブザンの魔除け/Abzan Charm》の餌食になり、その後に続く《包囲サイ/Siege Rhino》を越える力はもはや残されていないだろう。
かと言ってコンボを仕掛けずに勝ちきれるほど甘くはないのだから、いつコンボを狙うかに頭を悩ませることになるのだ。
同じような理由で、様々なインスタント除去を有するデッキを相手取る際にも多くのことを考える必要出てくる。
様々な除去の内、どれが本当に致命的なものであるかを見極めなければならないのだ。
先日のプロツアーで多くのプレイヤーをコンボで沈めてきたが、コンボを異常に警戒するプレイヤーがいれば、逆に全く警戒していないプレイヤーも多く見られた。
両者に共通するのは致命的な場面で判断を誤ってしまったことであるが、コンボを決められる前に勝ちに行くのか、それともコンボを捌ききって勝ちに行くのかは非常に繊細な分水嶺なのである。
カード選択
《森/Forest》
《森/Forest》が入ってないリストもあるが、私はデッキに1枚は必要だと考えている。
素引きしてしまったり、《稲妻の狂戦士/Lightning Berserker》の能力を起動できなかったりと不都合なこともあるが、それを加味したとしてもだ。
2マナの状態で安定して《アタルカの命令/Atarka’s Command》を唱えるためには、《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》からアンタップインできる緑マナが必要になってくるが、これはバトルランドと《山/Mountain》だけでは実現できないことなのである。
《森/Forest》を素引きしてしまう可能性があることだけはデメリットだが、逆に言えば《森/Forest》以外なら何を引いても構わないということであり、速やかに終わるはずのゲームでそう何度も《森/Forest》ばかりを引くことは考えなくても良いだろう。
土地21枚
統計的には21枚の土地が必要であったが、感覚的にはどうしてもフラッドが多いように感じられた。
プロツアー中も酷いフラッドに悩まされ、後手の場合は毎回土地を1枚サイドアウトしていたくらいであるから、今後アタルカレッドのアップデート版を作るのであれば土地は20枚にすべきだろう。
3枚目の土地を置いた後の手札に残っているのは呪文だけという状況が理想であり、フラッドを避けるためにも《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》を1枚削るのが良いように思う。
《ドラゴンの餌/Dragon Fodder》
Frank Karstenのリスト(http://www.channelfireball.com/articles/atarka-red-deck-guide/)で、2マナ域は《龍を操る者/Dragon Whisperer》と《マキンディの滑り駆け/Makindi Sliderunner》が優先されていたが、この選択に懐疑的である。
調整の段階から、強さにムラのある上陸クリーチャーについての賛否はあったが、《ドラゴンの餌/Dragon Fodder》のパフォーマンスはいつだって安定している。
コンボを成立させるためにはクリーチャーが必要不可欠であるが、このカードはたった2マナで2体のクリーチャーを供給してくれるばかりか、果敢のトリガーとなったり《強大化/Become Immmense》の探査のコストになったりとその役割は多岐に渡る。
このカードの枚数を減らすことはありえないだろう。
《軍属童の突発/Horeling Outburst》
《ドラゴンの餌/Dragon Fodder》とマナレシオは同じだが、使い勝手はやや劣るものになっている。
同じ3マナ域の《軍属童の突発/Horeling Outburst》と《カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh》ではどちらが有用かという議論を重ねてきたが、《カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh》は緑系のデッキに強く、《軍属童の突発/Horeling Outburst》は赤系のデッキ、殊ミラーマッチにおいて効果的だという結論に至った。
この評価はメタゲームにも依るが、それでもメインボードの《軍属童の突発/Horeling Outburst》は2枚がベストであろう。
《強大化/Become Immense》+ 《ティムールの激闘/Temur Battle Rage》
両者の採用枚数は3枚ずつに抑えているが、なぜ4枚ずつにしなかったのかと聞かれることがよくある。
確かにコンボパーツは何としてでも引きたいものだが、何枚も重ねて引いてしまっては勝てるものも勝てなくなってしまう。
コンボ一辺倒でなくとも通常の赤単系のデッキと同じような勝ち筋が見込めるのであるから、同じ役割の《タイタンの力/Titan’s Stregth》と合わせて十分数が確保できている《強大化/Become Immense》を4枚にする必要は無いだろう。
しかしながら、他に代わりの無い《ティムールの激闘/Temur Battle Rage》を4枚にするのは理に適った選択であり、とりわけトークンデッキ相手には劇的に効果が見込めるようになるはずだ。
サイドボードの採択
今回のサイドボードは、他のリストに多く見られる4マナのカードが採用されていないこと以外はいたって普通の構成になっている。
始め、サイドボードの《雷破の執政/Thunderbreak Regent》はジェスカイ・緑白・ミラー全てのマッチアップで効果的なものに感じ、このデッキの原型を作ったBrian DeMarsからも賛同を得ていたのだが、調整を重ねていくにつれ当初期待していたほどの働きをしないことが分かった。
緑白の《徴税の大天使/Archengel of Tithes》と《正義のうねり/Surge of Righteousness》はまさにこのカードの天敵であるし、ジェスカイの《はじける破滅/Crackling Doom》を前にしては全くの無力である。
極めつけはミラーマッチでの弱さで、ミラー相手にタップアウトしてしまったのなら次の自分のターンが返ってくることは考え辛いだろう。
ミラーのサイド後に《前哨地の包囲/Outpost Siege》を入れてコントロールに回るプランも考えたが、コンボが決まるよりも早くクリーチャーを捌き切ることは不可能だと感じ、タップアウトの不安も拭い切れなかったことも相俟って、今回は4マナ以上のカードの採用を考えないものとした。
本来ならサイドボードのインアウトを固定してしまうことなどあってはならないことだが、今回のサイドボードは役割が明確なカードが多いため、自ずとサイドインする相手も限られてくる。
一つ注意しなければならないのが、後手の場合はサイドカードを引きに行くためにキープ基準を厳しくすることと、同じく後手の場合に土地を1枚サイドアウトしてフラッドを防ぐことである。
以下にサイドボーディングについての解説を記すが、相手のデッキやプレイを見極めて柔軟なサイドボーディングを行うことを心がけられたい。
《引き裂く流弾/Rending Volley》
対エスパーや対ジェスカイの《アラシンの僧侶/Arashin Cleric》、《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn’s Prodigy》、《龍王オジュタイ/Dragonlord Ojutai》に有効だ。
《稲妻の狂戦士/Lightning Berserker》
エスパーやその他のコントロールデッキなど、全体除去を有するデッキを相手取る時の返しの手段として有効だ。
《焦熱の衝動/Fiery Impulse》
ミラーマッチや対ジェスカイ、対緑白に有効である。
緑白相手にあまり多くは抱えたくないカードであるが、それでも《乱撃斬/Wild Slash》よりかは些かマシであろう。
《焙り焼き/Roast》
《先頭に立つもの、アナフェンザ/Anafenza, the Foremost》や《包囲サイ/Siege Rhino》を見かけたらサイドインしよう。
《沸き立つ大地/Boiling Earth》
ミラーマッチだけに有効なカードだ。
本来なら《弧状の稲妻/Arc Lightning》の方が役割が広いのだが、酷いフラッドに苛まれた際にはこのカードの方が頼りになるのである。
《カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh》
対緑白や対アブザンのような、重い除去や《正義のうねり/Surge of Righteousness》をはじめとしたレンジストライク型の除去を採用しているデッキに非常に有効である。
《軍属童の突発/Horeling Outburst》
対コントロールやミラーマッチで有効である。
メインの《乱撃斬/Wild Slash》、《稲妻の狂戦士/Lightning Berserker》、《タイタンの力/Titan’s Stregth》はサイドアウトの機会が多くなるだろう。
《乱撃斬/Wild Slash》は小型クリーチャー以外には効果が薄く、《稲妻の狂戦士/Lightning Berserker》は《搭載歩行機械/Hangarback Walker》のようなブロッカーには非常に弱いからだ。
《タイタンの力/Titan’s Stregth》も軽い除去を多く採用しているデッキに対しては効果的とは言えないだろう。
《カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh》をサイドインする場合には、3マナ域でもたつくことを防ぐために《軍属童の突発/Horeling Outburst》はサイドアウトしてしまう。
アタルカレッドを使用している人の多くがサイド後のコンボプランを諦めてしまっているが、このデッキのコンボは対策を乗り越えるだけのパワーがあるため、《タイタンの力/Titan’s Stregth》以外のコンボパーツを抜いてしまっては勿体無い。
サイドに《わめき騒ぐマンドリル/Hooting Mandrills》を採用しない理由の一つに、《強大化/Become Immense》をサイドアウトしたくないことが挙げられるくらいにはコンボパーツを重要視しているのである。
サイドボーディング
ミラーマッチ
In
1:《沸き立つ大地/Boiling Earth》
2:《焦熱の衝動/Fiery Impulse》
2:《軍属童の突発/Horeling Outburst》
Out
2:《稲妻の狂戦士/Lightning Berserker》
3:《タイタンの力/Titan’s Stregth》
対アブザン
In
3:《焙り焼き/Roast》
3:《カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh》
Out
2:《軍属童の突発/Horeling Outburst》
3:《乱撃斬/Wild Slash》
1:《焦熱の衝動/Fiery Impulse》
対白緑
In
3:《カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh》
2:《焦熱の衝動/Fiery Impulse》
Out
3:《乱撃斬/Wild Slash》
2:《軍属童の突発/Horeling Outburst》
対ジェスカイ
In
3:《引き裂く流弾/Rending Volley》
2:《焦熱の衝動/Fiery Impulse》
2:《軍属童の突発/Horeling Outburst》
Out
4:《タイタンの力/Titan’s Stregth》
2:《稲妻の狂戦士/Lightning Berserker》
1:《乱撃斬/Wild Slash》
対エスパードラゴン
In
3:《引き裂く流弾/Rending Volley》
1:《稲妻の狂戦士/Lightning Berserker》
2:《軍属童の突発/Horeling Outburst》or《カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh》
(※注:追加の3マナ域は相手の除去の採択に合わせて選択してほしい。)
Out
3:《乱撃斬/Wild Slash》
2:《焦熱の衝動/Fiery Impulse》
1:《タイタンの力/Titan’s Stregth》
1:《ティムールの激闘/Temur Battle Rage》
追加の3マナ域は概ね《軍属童の突発/Horeling Outburst》が良さそうに見えるが、相手が《否認/Negate》や《正義のうねり/Surge of Righteousness》を採用してくるのであれば《カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh》をサイドインする方が良いだろう。
対エスパー(非ドラゴン)
ほとんどメインデッキのままで良いが、1マナ火力を抜いて追加の3マナ域を入れるのも良いだろう。
プレイングのコツ
このデッキは4ターン(早いときは3ターンで)相手を葬り去ってしまうが、必ずしも最速でコンボを狙えば良い訳ではない。
相手のマナが立っており、明らかに除去を構えている状況でコンボを決めに行くのは自殺行為だ。
プロツアーで最も口にしたのがアタック宣言後の「何も無いよ」という言葉だが、この言葉に反応して除去を撃ってくれるようなことがあれば、それに対応してパンプスペルを見せれば良いだけだ。簡単だろう?
土地をスムーズに置ける状況であれば、《燃えがらの林間地/Cinder Glade》より先に2枚の基本土地を置くことを心がけたい。
それは《ケラル砦の修道院長/Abott of Keral Keep》から《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》や《燃えがらの林間地/Cinder Glade》が捲れた場合、そのターンに赤マナが出なくなることを防ぐためだ。
最も、将来的に緑マナを出せる見込みが無ければ《燃えがらの林間地/Cinder Glade》を置かざるを得ないだろう。
このデッキは手札にカードを抱えるだけでブラフが成立する。
追加の土地を置かずに手札で持っておけば、相手はそれをコンボパーツだと考えて疑心暗鬼になるだろう。
しかしこれも良い側面だけではなく、《ケラル砦の修道院長/Abott of Keral Keep》を含めたツーアクションが取りづらくなったり、肝心な時に《強大化/Become Immense》が撃てなくなったりするので、やはり状況をしっかりと見極めなければならない。
《ケラル砦の修道院長/Abott of Keral Keep》は確実にアドバンテージを取れる状況でキャストすべきだ。
このデッキは他の赤単系のデッキとは違いコンボを通せば一撃で勝利できるため、必ずしもクリーチャーを早い段階から並べなければならない訳ではない。
とりわけサイド後は相手の除去の数も多く、《ケラル砦の修道院長/Abott of Keral Keep》を出したとしてもすぐに除去されてしまうことが多いはずだ。
それならば2ターン目に何もできなかったとしても、確実にアドバンテージが取れるようになってから《ケラル砦の修道院長/Abott of Keral Keep》をキャストするのが賢明だろう。
《アタルカの命令/Atarka’s Command》のライフゲインを阻止するモードを忘れてはならない。
《アラシンの僧侶/Arashin Cleric》、《魂火の大導師/Soulfire Grandmaster》、《道の探究者/Seeker of the Way》、《包囲サイ/Siege Rhino》、《オジュタイの命令/Ojutai’s Command》等、ライフゲインできるカードは枚挙に暇が無いのだ。
《乱撃斬/Wild Slash》を持っている場合、《始まりの木の管理人/Warden of First Tree》は能力の起動を待つことなく即座に除去した方が良い。
経験則にはなるが、他に何もすることが無い場合に初めて《始まりの木の管理人/Warden of First Tree》の能力が起動される場合が多く、《乱撃斬/Wild Slash》を構えておきながら相手が何もしてこなかったとしたら、こちらの被る被害は甚大だ。
相手が《始まりの木の管理人/Warden of First Tree》をブロッカーに回そうとしている場合も同様で、相手からすればこちらのアップキープに能力を起動してもなんらリスクは無いのである。
アタルカレッドを使うのであれば、ダメージ計算は絶対に誤ってはならない。
かく言う私も《タイタンの力/Titan’s Stregth》を守りに使ってしまったばかりに、返しの攻撃で20点に届かずゲームを落としてしまうことがあった。
果敢や《アタルカの命令/Atarka’s Command》の全体パンプもあるためどうしてもダメージ計算が煩雑になってしまうが、絶対にミスは許されないのである。
今後のアタルカレッド
赤単系のデッキが今後どうなるのかは全く分からない。
プロツアー前の段階ではアタルカレッドが最高のデッキだと考えており、事実多くのチームメイトに無理やりにでもアタルカレッドを使うことを進めてきた。
にもかかわらずTOP8に進出できたのは私だけ。このデッキを持ち込んだ人の数から考えても少なすぎるくらいだ。
このデッキはアブザンアグロとジェスカイとのマッチアップだけが厳しく、またそれらのデッキがどれだけ構築の段階からアタルカレッドを意識しているかによっても勝率が左右される。
アブザンアグロとジェスカイは間違いなく環境のトップメタであるが、アタルカレッドもそれらに優るとも劣らず、両者を除く環境の全てのデッキに有利と言っても過言ではない程には仕上っているのだ。
赤単系のデッキは対策されるまでが華だという人が多くいるが、それは過去の話であろう。
このアタルカレッドというデッキは過去の赤単系のデッキとは性質がまるで異なり、ある程度の対策は容易くも潜り抜けてしまうのである。
多くの人が《正義のうねり/Surge of Righteousness》や《アラシンの僧侶/Arashin Cleric》、そして《光輝の炎/Radiant Flame》といったカードをサイドに採っており、その枚数は時に6~8枚にも及ぶが、それでもなおアタルカレッドの猛攻を防ぐには心許無いだろう。
これらの、アタルカレッド以外には効果の薄いカードをサイドボードの半数近くも採用しなければならないとうことは、それほどまでにこのデッキに対するヘイトが高いことの証左である。
それでもなおプロツアーでの二日目進出率が14%にも及んだのは、このアタルカレッドというデッキが並み大抵のメタを寄せ付けないだけのパワーを有しているからであろう。
TOP8の結果を見るに、アタルカレッドが最適解であったとは言い難いが、それでもこのデッキが素晴らしいものであることには変わりない。
もしアタルカレッドに対するヘイトが今よりも低ければ、環境の他のデッキを全く寄せ付けずにメタゲームをかっさらっていたことであろう。
今後も風当たりの厳しい状況が続くだろうが、それでもアタルカレッドは使用に値するデッキであり、他のデッキを使うにしても必ず意識しなければならないデッキであることは間違いないはずだ。
このままアタルカレッドを使い続けるのであれば大きな変更は必要ないが、他に活路を見出すならAndrea Mengucciの赤緑上陸(http://www.channelfireball.com/articles/rg-landfall-deck-guide/)が有力だろう。
赤緑上陸はクリーチャーがよりタフなものに据え置かれており、《正義のうねり/Surge of Righteousness》に引っかからない緑のクリーチャーを採用できる点で優れている。
しかしながら上陸の性質上土地の枚数を削ることが出来ず、赤単系のデッキであれば土地は20枚で十分なところを24枚も採用しなければならない。
時間をかけて調整を重ねれば評価も変わるかもしれないが、今の段階では赤緑上陸の構築上の欠陥は拭いきれないものに感じる。
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