今回はChannel FireballからLuis Scott-Vargas(LSV)による戦乱のゼンディカーのリミテッドレビュー記事をご紹介します。

省略、意訳、行間の補足等を含みますので、是非原文(http://www.channelfireball.com/articles/battle-for-zendikar-limited-set-review-blue/)もご覧ください。



以下翻訳



このレビューでは、それぞれのカードのリミテッドにおける点数を0.0点から5.0点までの10段階で評価する。

以下に示すのが評価の目安だ。



5.0点: まさしく最高のカード。
《城塞の包囲/Citadel Siege》《風番いのロック/Wingmate Roc》《龍王アタルカ/Dragonlord Atarka》

4.5点:ボム。しかしながら対処できないこともない。
《悲劇的な傲慢/Tragic Arrogance》《つむじ風のならず者/Whirler Rogue》《氷瀑の執政/Icefall Regent》《搭載歩行機械/Hangerback Walker》

4.0点:優秀なレアやトップアンコモン。
《ケラル砦の修道院長/Abbot of Keral Keep》《ジェスの盗人/Jhessian Thief》《究極の価格/Ultimate Price》

3.5点:優秀なアンコモンやトップコモン。
《分離主義者の虚空魔道士/Separatist Voidmage》《焦熱の衝動/Fiery Impulse》《勇壮な対決/Epic Confrontation》

3.0点:ほぼデッキに入る良カード。
《死橋のシャーマン/Deadbridge Shaman》《空荒らしの巨人/Skyraker Giant》《狩漁者/Watercourser》

2.5点:基本的にデッキに入るカード。
《骨読み/Read the Bones》《シルムガルの解体者/Silumgar Butcher》《龍傷負いの熊/Dragon-Scarred Bear》

2.0点:数合わせのカード。入らないこともある。
《投げナイフ/Throwing Knife》《チャンドラの憤怒/Chandra’s Fury》《巧みな機動/Artful Maneuver》

1.5点:頭数を稼ぐカード。入るかどうかは半々。
《巨森を喰らうもの/Vastwood Gorger》《飛空士の修繕屋/Aeronaut Tinkerer》《暴れ玉石/Cobblebrute》

1.0点:数合わせで仕方なく入るカード。基本的には入れたくない。
《茨弓の射手/Thornbow Archer》《深海の恐怖/Deep-Sea Terror》《アクロスの看守/Akroan Jailer》

0.5点:ほぼ採用されないカード。或いはサイドボード用のカード。
《破壊行為/Vandalize》《蔦の罠/Vine Snare》《集い/Congregate》

0.0点:まさしくゴミ。
《陶酔/Fascination》《無限の抹消/Infinite Obliteration》



《逆境/Adverse Conditions》:2.0点
Adverse Conditions / 逆境 (3)(青)
インスタント
欠色(このカードは無色である。)
クリーチャーを最大2体対象とし、それらをタップする。それらのクリーチャーは、それらのコントローラーの次のアンタップ・ステップにアンタップしない。無色の1/1のエルドラージ(Eldrazi)・末裔(Scion)クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。それは「このクリーチャーを生け贄に捧げる:あなたのマナ・プールに(1)を加える。」を持つ。

《霜のブレス/Frost Breath》のようなカードはアグロデッキに採用されるのが常だが、エルドラージ・末裔トークンを戦場に出すというテキストがその常識を覆している。

4マナというやや重めなコストではあるが、末裔でタフネス1のクリーチャーと相打ちを取った上で、何ターンか生き延びられるのであれば十分なパフォーマンスであろう。

このカードはやはりアグロデッキで使いたいカードであるが、上手く使えばそれ以外のデッキでも大いに活躍してくれるはずだ。

噛み合いが重要なこの手のカードは、引くタイミングによって強さにムラが生じがちであるが、好きなタイミングで末裔を出せる能力のお蔭で、そのムラがいささかましなものになっている(それでもコントロールデッキはこの手のカードを避けがちではある)。

このカードは非常に興味深いものがあり、どんなデッキでどのように使われるのかを想像するだけでも楽しい。

コントロールデッキやランプデッキにこのカードを入れて色々と思考錯誤してみるのも良いだろう。


《予期/Anticipate》:2.5点
Anticipate / 予期 (1)(青)
インスタント
あなたのライブラリーの一番上から3枚のカードを見る。そのうち1枚をあなたの手札に加え、残りをあなたのライブラリーの一番下に望む順番で置く。

このカードは目立って大きな働きはしないものの、デッキの安定に貢献してくれる良カードである。

2マナ域が少ないデッキであればその穴埋めに使え、コントロールデッキであれば必要なカードを探しにいけるのであるから、点数も高くなるだろう。

2マナ域が充実していると、このカードを唱える意義が薄くなってしまうため、アグロデッキにとってはそれほど魅力的なカードではないかもしれない。

他のプレイアブルなカードより優先することは無いが、それでもこのカードが嬉しいタイミングは多くあるはずだ。


《水底の潜入者/Benthic Infiltrator》:3.0点
Benthic Infiltrator / 水底の潜入者 (2)(青)
クリーチャー — エルドラージ(Eldrazi) ドローン(Drone)
欠色(このカードは無色である。)
嚥下(このクリーチャーがプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、そのプレイヤーは自分のライブラリーの一番上のカードを追放する。)
水底の潜入者はブロックされない。
1/4

このカードの場合、嚥下や昇華者のメカニズムを重視せずともプレイに足る性能を有していると言える。

3マナ1/4はそれほど悪いマナレシオではないし、ブロックされることなく攻撃を通せるとなったら尚更だ。

防御面でも優秀で、昇華者とのシナジーもあるときたものだからこれ以上このカードに臨むことも無いだろう。

昇華者や欠色を活かす為にアンプレイアブルなカードを採用することは避けたいが、このカードは自然にそれらのカードとシナジーを形成する。

似たようなカードに《霧の侵入者/Mist Intruder》があるが、昇華者を軸にしたデッキを組まないのであれば、このカードの方が優先されるだろう。


《輝く光波/Brilliant Spectrum》:1.0点
Brilliant Spectrum / 輝く光波 (3)(青)
ソーサリー
収斂 ― カードをX枚引く。Xは、輝く光波を唱えるために支払われたマナの色の総数に等しい。その後、カードを2枚捨てる。

いつだってカードを引くのは嬉しいことだが、こんなにも弱いカードに頼らなければいけないのならこちらから願い下げだ。

まず3色以上出せるデッキでなければ採用は難しいし、何より重いのがネックである。

4色以上あれば十分プレイアブルになるが、4色を揃えられるのはごくごく限られた場合にしか過ぎない。

たまたま4枚も引けたことに感動を覚えたプレイヤーが、「このカードは強い!」などとのたまうのである。


《雲マンタ/Cloud Manta》:2.5点
Cloud Manta / 雲マンタ (3)(青)
クリーチャー — 魚(Fish)
飛行
3/2

アタッカーとしては優秀で、ブロッカーとしては及第点である。

他に言うべきことが見つからない。


《掴み掛かる水流/Clutch of Currents》:3.5点
Clutch of Currents / 掴み掛かる水流 (青)
ソーサリー
クリーチャー1体を対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
覚醒3 ― (4)(青)(この呪文を(4)(青)で唱えたなら、加えて、あなたがコントロールする土地1つを対象とする。それの上に+1/+1カウンターを3個置く。それは速攻を持つ0/0のエレメンタル(Elemental)・クリーチャーになる。それは土地でもある。)

このカードは1マナでも5マナでも唱えられる柔軟性が魅力だ。

5マナで3/3のクリーチャーがおまけで出てくるのであれば、たとえそれがタップ状態であっても嬉しいし、6マナある状態で3/3速攻として攻撃に即参加できるのならこれ以上言うことは無い。

カードパワーと柔軟性を兼ね備えているのは強カードの条件であるが、このカードはその条件を2たつとも満足しており、どんなデッキにも入り得るパワーカードであると言えるだろう。


《沿岸の発見/Coastal Discovery》:2.5点
Coastal Discovery / 沿岸の発見 (3)(青)
ソーサリー
カードを2枚引く。
覚醒4 ― (5)(青)(この呪文を(5)(青)で唱えたなら、加えて、あなたがコントロールする土地1つを対象とする。それの上に+1/+1カウンターを4個置く。それは速攻を持つ0/0のエレメンタル(Elemental)・クリーチャーになる。それは土地でもある。)

私は念願のカードを発見した。

4マナの《予言/Divination》が強いとは言えないが、6マナ4/4で唱えられる《熟考漂い/Mulldrifter》だと思うと少し話は変わってくる。

相手も4/4のクリーチャーでもあり土地でもあるカードを、そうそう野放しにすることはできないはずだ。

このカードを何枚も積むのには懐疑的であるが、1枚採用すれば中盤のドローに終盤のアタッカーの確保にと、大きな役割を果たしてくれることだろう。

優秀な覚醒持ちのスペルがあれば、土地を18枚で運用することを検討してみたい。

スクリューとフラッドの両方をケアできるのであれば、それに越したことは無いからだ。


《珊瑚兜の案内人/Coralhelm Guide》:2.5点
Coralhelm Guide / 珊瑚兜の案内人 (1)(青)
クリーチャー — マーフォーク(Merfolk) スカウト(Scout) 同盟者(Ally)
(4)(青):クリーチャー1体を対象とする。このターン、それはブロックされない。
2/1

2マナのクリーチャーは、相手の2マナクリーチャーと相打ちを取れるかどうかが鍵になってくる。

このカードはその条件を満たしつつも優秀な能力を有しており、試合を決定づけることはあれど腐ってしまうことはない、いつ引いても嬉しいカードだ。


《謎めいた巡行者/Cryptic Cruiser》 :2.5点
Cryptic Cruiser / 謎めいた巡行者 (3)(青)
クリーチャー — エルドラージ(Eldrazi) 昇華者(Processor)
欠色(このカードは無色である。)
(2)(青),追放領域から対戦相手がオーナーであるカードを1枚そのプレイヤーの墓地に置く:クリーチャー1体を対象とし、それをタップする。
3/3

このカードは昇華者であるが、シナジーの無いデッキに入れてしまっても何ら問題は無いだろう。

嚥下がいないとただの弱いバニラに成り下がってしまう他の昇華者とは違い、このカードは比較的優秀なマナレシオを兼ね備えているのだ。

特別なシナジーが無くともデッキに入れてみようと思える良カードである。


《鈍化する脈動/Dampening Pulse》:3.5点
Dampening Pulse / 鈍化する脈動 (3)(青)
エンチャント
あなたの対戦相手がコントロールするクリーチャーは-1/-0の修整を受ける。

このカードは見た目以上に優秀なカードだ。

相手のクリーチャーを常に弱体化されられるのは非常に強力で、ゲームの内容に大きく作用するだろう。

相手がこのカードを対処するために何かしらのスペルを唱えてくれれば儲けもので、他のカードでアドバンテージに差をつけてやれば良い。

このカードが戦場にあれば、相手の2/2クリーチャーはもはや戦力ではなくなり、相手からすれば戦闘で優位を取るのは非常に困難になるだろう。

戦闘を重ねるごとにアドバンテージを得ていけば、最終的に相手が勝利することは非常に困難になるはずだ。

エルドラージ・末裔トークンをほぼ無力化できるのも魅力である。


《払拭/Dispel》:0.5点
Dispel / 払拭 (青)
インスタント
インスタント呪文1つを対象とし、それを打ち消す。

このカードは構築や、リミテッドのサイドボードでこそ真価を発揮するカードだ。

相手のデッキにインスタントが3枚、もっと言えば4枚以上入っているのを確認したのであれば是非ともサイドインしよう。


《希望を溺れさせるもの/Drowner of Hope》: 4.0点
Drowner of Hope / 希望を溺れさせるもの (5)(青)
クリーチャー — エルドラージ(Eldrazi)
欠色(このカードは無色である。)
希望を溺れさせるものが戦場に出たとき、無色の1/1のエルドラージ(Eldrazi)・末裔(Scion)クリーチャー・トークンを2体戦場に出す。それらは「このクリーチャーを生け贄に捧げる:あなたのマナ・プールに(1)を加える。」を持つ。
エルドラージ・末裔を1体生け贄に捧げる:クリーチャー1体を対象とし、それをタップする。
5/5

6マナ5/5でエルドラージ・末裔が2体出てくる時点で優秀であるが、それとは別に強力な能力をも併せ持っている。

このカードがいれば末裔トークンはマナを生み出すだけでなく、相手のクリーチャーをタップできるようになり、他の様々なカードともシナジーを形成するようになるのだ。

効果もさることながら戦闘で討ち取ることも難しいボディであるため、相手からすればこのカードを引かれないことが唯一の希望であろう。


《空中生成エルドラージ/Eldrazi Skyspawner:》3.5点
Eldrazi Skyspawner / 空中生成エルドラージ (2)(青)
クリーチャー — エルドラージ(Eldrazi) ドローン(Drone)
欠色(このカードは無色である。)
飛行
空中生成エルドラージが戦場に出たとき、無色の1/1のエルドラージ(Eldrazi)・末裔(Scion)クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。それは「このクリーチャーを生け贄に捧げる:あなたのマナ・プールに(1)を加える。」を持つ。
2/1

3マナ2/1飛行はそれだけでプレイアブルだが、このカードは末裔トークンを1体生み出してくれる。

緑、黒、青のデッキなら末裔トークンを有効に使えるため、手軽に末裔トークンを産み出せるこのカードは重宝されることだろう。

2/2飛行クリーチャーと比較しても2/1であることのデメリットは少なく、寧ろこのカードの性能が輝く場面の方が多いはずだ。


《影響力の行使/Exert Influence》: 3.5点
Exert Influence / 影響力の行使 (4)(青)
ソーサリー
収斂 ― クリーチャー1体を対象とする。それのパワーが、影響力の行使を唱えるために支払われたマナの色の総数以下であるなら、それのコントロールを得る。

2色デッキのこのカードは決して特筆するほどのものではない。

3色から非常に強力になり、4色以上揃った場合は完璧なボムカードに変貌を遂げる。

このカードの性能はマナベースを弄るだけの価値があり、4色以上のデッキを組むことを肯定してくれる稀有な例であろう。

色マナが揃いきる前にこのカードを唱えたとしても、それはそれで十分な働きをしてくれるはずだ。


《タジームの守護者/Guardian of Tazeem》:4.5点
Guardian of Tazeem / タジームの守護者 (3)(青)(青)
クリーチャー — スフィンクス(Sphinx)
飛行
上陸 ― 土地が1つあなたのコントロール下で戦場に出るたび、対戦相手がコントロールするクリーチャー1体を対象とし、それをタップする。その土地が島(Island)であるなら、そのクリーチャーはそれのコントローラーの次のアンタップ・ステップにアンタップしない。
4/5

相手がこのカードを対処できなかったらそれだけでゲームが終わるだろう。

このカードは強力な能力を持った大型のフライヤーである上、たったの5マナ(即上陸するのであれば6マナ)で出せるとくれば、それは間違いなく旧き良きボムカードの系譜である。

毎ターン島を継続的に置ければ非常に強力であるが、たとえ土地を置けなかったとしてもゲームを終わらせるには十分でなスペックを有しているはずだ。


《ハリマーの潮呼び/Halimar Tidecaller》:2.5点
Halimar Tidecaller / ハリマーの潮呼び (2)(青)
クリーチャー — 人間(Human) ウィザード(Wizard) 同盟者(Ally)
ハリマーの潮呼びが戦場に出たとき、あなたの墓地から覚醒を持つカード1枚を対象とする。あなたはそれをあなたの手札に戻してもよい。
あなたがコントロールする土地クリーチャーは飛行を持つ。
2/3

もしこのカードの強さに気付いていない人がいたとしたら、それは間違いなく大きなミスだ。

その人にはこのカードがただの2/3バニラに見えているのだろう。

実際、デッキに覚醒カードが入らないことはまず無く、このカードの回収先に困ることはほぼ無いと言えるだろう。

回収能力に比べるとやや地味かもしれないが、覚醒した土地に飛行を付与する能力も素晴らしい。

ドラフトの序盤でこのカードをピックできたなら、少なくとも2枚、理想を言えば4枚以上の覚醒カードをピックしたいところである。


《手酷い失敗/Horribly Awry》:2.5点
Horribly Awry / 手酷い失敗 (1)(青)
インスタント
欠色(このカードは無色である。)
点数で見たマナ・コストが4以下のクリーチャー呪文1つを対象とし、それを打ち消す。その呪文がこれにより打ち消されたなら、それをオーナーの墓地に置く代わりに追放する。

このカードは2マナとしては素晴らしい性能で、ゲームの終盤でさえも要所要所で効果を発揮するだろう。

昇華者との相性が良いのも特筆に値する。

しかしながら実際はこのカードを構えているときに限って、相手が覚醒カードか高マナのクリーチャーしか出してこないものだ。

また、所詮は1対1交換しかできないカードななので、相手が複数枚の脅威を展開してくるときには無力なのも玉に瑕である。

昇華者とのシナジーが見込めたり、2マナのカードが少ない場合には採用を検討しても良いだろう。


《培養ドローン/Incubator Drone》:3.0点
Incubator Drone / 培養ドローン (3)(青)
クリーチャー — エルドラージ(Eldrazi) ドローン(Drone)
欠色(このカードは無色である。)
培養ドローンが戦場に出たとき、無色の1/1のエルドラージ(Eldrazi)・末裔(Scion)クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。それは「このクリーチャーを生け贄に捧げる:あなたのマナ・プールに(1)を加える。」を持つ。
2/3

今回の青はトークンを産み出せるカードを多く手に入れ、このカードもそのうちの一つだ。

末裔トークンがそれほど重要でないデッキでも、4マナ3/4相当であるなら十分採用に足るスペックだろう。

このカードは3.5点を与えても良いスペックではあるが、《空中生成エルドラージ/Eldrazi Skyspawner》と比べるとやや見劣りするので、この点数にとどまっている。

コメント

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索