今回はCFBからFrank Karstenによる《深海の主、キオーラ/Kiora, Master of the Depths》の評価記事をご紹介します。

省略、意訳、行間の補足等を含みますので、是非原文(http://www.channelfireball.com/articles/kiora-master-of-the-depths/)もご覧ください。



以下翻訳



Kiora, Master of the Depths / 深海の主、キオーラ (2)(緑)(青)
プレインズウォーカー — キオーラ(Kiora)
[+1]:クリーチャーを最大1体と土地を最大1つ対象とし、それらをアンタップする。
[-2]:あなたのライブラリーの一番上から4枚のカードを公開sる。あなたは、その中のクリーチャー・カードを最大1枚と土地・カードを最大1枚あなたの手札に加えてもよい。残りをあなたの墓地に置く。
[-8]:あなたは「クリーチャーが1体あなたのコントロール下で戦場に出るたび、クリーチャー1体を対象とする。あなたは『その戦場に出たクリーチャーはそれと格闘を行う。』を選んでもよい。を持つ紋章を得る。その後、青の8/8タコ・クリーチャー・トークンを3体場に出す。
4


《深海の主、キオーラ/Kiora, Master of the Depths》は《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》と《思考を築く者、ジェイス/Jace, Architect of Thought》がハイブリッドされたような性能をしている。

これら二人のプレインズウォーカーは当時のスタンダード環境に大きな影響を及ぼし、延いてはモダンにおいても採用されるデッキがいくらか見受けられた。

Garruk Wildspeaker / 野生語りのガラク (2)(緑)(緑)
プレインズウォーカー — ガラク(Garruk)
[+1]:土地2つを対象とし、それらをアンタップする。
[-1]:緑の3/3のビースト(Beast)・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。
[-4]:あなたがコントロールするクリーチャーは、ターン終了時まで+3/+3の修整を受けるとともにトランプルを得る。
3


Jace, Architect of Thought / 思考を築く者、ジェイス (2)(青)(青)
プレインズウォーカー — ジェイス(Jace)
[+1]:あなたの次のターンまで、対戦相手1人がコントロールするクリーチャー1体が攻撃するたび、それはターン終了時まで-1/-0の修整を受ける。
[-2]:あなたのライブラリーの一番上から3枚のカードを公開する。対戦相手1人は、それらのカードを2つの束に分ける。一方の束をあなたの手札に加え、他方をあなたのライブラリーの一番下に望む順番で置く。
[-8]:各プレイヤー1人につき、そのプレイヤーのライブラリーから土地でないカードを1枚探し、それを追放する。その後、そのプレイヤーは自分のライブラリーを切り直す。あなたはそれらのカードを、そのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。
4


両プレインズウォーカーとは違い、自らの能力で直接的に自身を守ることができず、また劣勢を一気にひっくり返すような力を持っている訳でもないのだが、このカードはそれを補って余るほどのポテンシャルを秘めているだろう。

以下でその能力を一つずつ見ていくことにする。


+1:クリーチャーを最大1体と土地を最大1つ対象とし、それらをアンタップする。

この能力は、マナクリーチャーや土地を起こしてマナを伸ばしたり、タップ能力持ちのクリーチャーの能力を1ターンに2度使用したりできるほか、攻撃済みの《凶暴な拳刃/Savage Knuckleblade》や《死霧の猛禽/Deathmist Raptor》といったカードをアンタップさせれば、自身を守る強力なブロッカーを確保することができる。

この能力を最大限に活かすには、この能力と相性の良いカード(3マナ以下ならなお良い)を12枚程度はデッキに入れておきたい。

以下に紹介するのは、スタンダードにおけるこの能力と相性の良いカードたちだ。

・《名誉ある教主/Honored Hierarch》
・《爪鳴らしの神秘家/Rattleclaw Mystic》
・《葉光らせ/Leaf Gilder》
・《荒野の囁く者/Whisperer of the Wilds》
・《失われた業の巫師/Shaman of Forgotten Ways》
・《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn’s Prodigy》
・《カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh》
・《アブザンの鷹匠/Abzan Falconner》
・《搭載歩行機械/Hangarback Walker》
・《徴税の大天使/Archangel of Tithes》
・《龍王オジュタイ/Dragonlord Ojutai》
・《魔道士輪の対応者/Mage-Ring Responder》
・《死滅都市の悪鬼/Necropolis Fiend》


筆者編
元記事とは関係ないですが、この翻訳記事を書いている途中のスポイラーで、新しいマナクリーチャーが公開されたので紹介しておきます。

Willbreaker / Bestienrufer-Experte (1)(緑)
クリーチャー — エルフ(Elf) シャーマン(Shaman) 同盟者(Ally)
速攻
(T):あなたのマナ・プールに望む色のマナ1つを加える。このマナはクリーチャー呪文のみに使用できる。(意訳)
1/1



-2:あなたのライブラリーの一番上から4枚のカードを公開sる。あなたは、その中のクリーチャー・カードを最大1枚と土地・カードを最大1枚あなたの手札に加えてもよい。残りをあなたの墓地に置く。

4マナを使って即座に2枚のカードを手札に加えられるなら、それは中々のコストパフォーマンスである。

今回はExcelのソートを使って、その期待値を導出してみた。

土地24枚、クリーチャー24枚、その他の呪文12枚のデッキの場合、この能力で手札に加えられるカードの期待値は1.77枚となった。

以下示すのはそれぞれの場合のパーセンテージである。

・土地とクリーチャー:77.1%
・土地のみ:11.4%
・クリーチャーのみ:11.4%
・不発:0.1%


この結果を鑑みると、この能力は概ね2枚のカードをもたらしてくれると言ってよいだろう。

時には全く手札に加えられない場合もあるが、墓地に送られることで進化を発揮するカードをデッキに入れておくことで、そのリスクを軽減することができる。

この能力はさながら《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》と同じような役割を果たすのである。

以下に示すのは、この能力と相性の良い、墓地を上手く利用できるカードたちだ。

・《血に染まりし勇者/Bloodsoaked Champion》
・《魂の略奪者/Despoiler of Souls》
・《死体結い/Corpseweft》
・《炎跡のフェニックス/Flamewake Phoenix》
・《エレボスのタイタン/Erebos’s Titan》
・《墓刃の匪賊/Graveblade Marauder》
・《生ける伝承/Living Lore》
・《血の暴君、シディシ/Sidisi, Brood Tyrant》
・《目覚めし処刑者/Risen Executioner》
・《屍術的召喚/Necromantic Summons》
・《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn’s Prodigy》&《オジュタイの命令/Ojutai’s Command》
・《棲み家の防御者/Den Protector》&《死霧の猛禽/Deathmist Raptor》
・各種魔巧呪文
・各種探査呪文



あなたは「クリーチャーが1体あなたのコントロール下で戦場に出るたび、クリーチャー1体を対象とする。あなたは『その戦場に出たクリーチャーはそれと格闘を行う。』を選んでもよい。を持つ紋章を得る。その後、青の8/8タコ・クリーチャー・トークンを3体場に出す。

この奥義は簡単にゲームを終わらせてしまうが、使われることはほぼないだろう。

4ターンにも渡って+1能力だけを使い続けられる状況はそうそうあることではない。

このカードの真の力はその+1、ー1能力であるから、その能力を如何なく発揮できるデッキを2つ紹介しよう。


+1能力とのシナジーを重視したティムール

クリーチャー:33
4:《爪鳴らしの神秘家/Rattleclaw Mystic》
4:《荒野の囁く者/Whisperer of the Wilds》
4:《凶暴な拳刃/Savage Knuckleblade》
4:《失われた業の巫師/Shaman of Forgotten Ways》
2:《囁きの森の精霊/Whisperwood Elemental》
3:《搭載歩行機械/Hangarback Walker》
2:《狩猟の統率者、スーラク/Surrak, the Hunt Caller》
2:《森林の怒声吠え/Woodland Bellower》
4:《龍王アタルカ/Dragonlord Atarka》
2:《絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger》

呪文:3
3:《深海の主、キオーラ/Kiora, Master of the Depths》

土地:24
2:《島/Island》
3:《山/Mountain》
2:《森/Forest》
4:《伐採地の滝/Lumbering Falls》
4:《開拓地の野営地/Frontier Bivouac》
2:《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》
2:《シヴの浅瀬/Shivan Reef》
1:《燃えがらの林間地/Cinder Glade》
4:《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》


このデッキの理想的な流れは、2ターン目《爪鳴らしの神秘家/Rattleclaw Mystic》、3ターン目《深海の主、キオーラ/Kiora, Master of the Depths》、4ターン目《龍王アタルカ/Dragonlord Atarka》か、3ターン目《失われた業の巫師/Shaman of Forgotten Ways》、4ターン目《深海の主、キオーラ/Kiora, Master of the Depths》、5ターン目《絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger》である。

このデッキで-2能力を使うと、手札に加えられるカードの期待値は1.85枚になる。

・土地とクリーチャー:85.2%
・土地のみ:3.3%
・クリーチャーのみ:11.5%
・不発0.0%



-2能力とのシナジーを重視したスゥルタイ

クリーチャー:18
4:《棲み家の防御者/Den Protector》
4:《死霧の猛禽/Deathmist Raptor》
4:《搭載歩行機械/Hangarback Walker》
2:《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang》
4:《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn’s Prodigy》

呪文:16
1:《究極の価格/Ultimate Price》
1:《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
1:《スゥルタイの魔除け/Sultai Charm》
3:《時を越えた探索/Dig Through Time》
2:《蔑み/Despise》
2:《衰滅/Languish》
3:《破滅の道/Ruinous Path》
3:《深海の主、キオーラ/Kiora, Master of the Depths》

土地:26
2:《島/Island》
2:《沼/Swamp》
2:《森/Forest》
4:《伐採地の滝/Lumbering Falls》
1:《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》
2:《ジャングルのうろ穴/Jungle Hollow》
4:《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》
4:《華やかな宮殿/Opulent Palace》
1:《窪み渓谷/Sunken Hollow》
4:《汚染された三角州/Polluted Delta》


このデッキでは、《搭載歩行機械/Hangarback Walker》と《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn’s Prodigy》が+1能力とシナジーする。

-2能力で《死霧の猛禽/Deathmist Raptor》と探査のコストを墓地に落としつつ、《棲み家の防御者/Den Protector》と《伐採地の滝/Lumbering Falls》を手札に加えることができれば完璧だ。

このデッキで-2能力を使うと、手札に加えられるカードの期待値は1.69枚になる。

・土地とクリーチャー:69.1%
・土地のみ:22.0%
・クリーチャーのみ:8.7%
・不発0.3%



総評

《深海の主、キオーラ/Kiora, Master of the Depths》は非常に強力なカードだ。

上のリストを参考に、是非スタンダードの環境に波濤を巻き起こしてほしい!



以上翻訳



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